整流子・コンミテーターとは
弊社は1934年の創業から現在まで整流子の製造事業を続けてまいりました。
モーターになくてはならない心臓部品”整流子”はその部品としての価値から国内を始め、海外のモーターメーカー様からお引き立ていただき、その姿を自動車や電動工具、介護用ベッドや大きなものでは発電所で使われる等など、私達の製品は広く世界のお客様に届けられてきました。
が、一度モーターに組込まれると故障でもない限り一般の方からは意識されない機能部品。
縁の下の力持ち、黒子、となることが至上の命題であり、普段は人目に触れず"回っている"私達の製品、【整流子】を少し皆さんにご紹介したいと思います。
そもそもモーターはなぜ回るのか?
整流子を理解する前にそもそもモーターはなぜ回るのか。
そこが理解できると整流子への理解がぐっと進むと思いますので解説しています。
まず皆さんにも身近にもモーターを使用した製品は様々あると思います。
自動車、エレベーター、電動工具、介護用ベッド、パソコンの冷却ファンやドライブ駆動装置などなどなど。。。
もしくはそれらを作るための産業用工作機械にもモーターが組込まれており、現代の生活の中でモーターがない生活は想像できないほどに普及しています。
このコラムをご覧になっているスマートフォンにもバイブ機能をモーターで機能させているでしょう。
それらの機器の中で一生懸命回っているモーターは電流を流すことで回るということは容易に想像できると思いますが、大きく分けると2つの種類があることをご存知でしょうか?
モーターはその回転原理について、直流電力で回転する直流モーター(DCモーター:Direct current motor)と交流電力で回転する交流モーター(ACモーター:Alternating current motor)電流方式により大きく2つに大別されます。
ここでは直流モーターについての解説から整流子の機能を解説していきたいと思います。
直流モーター
直流モーター、つまりDCモーター(Direct-current motor)とは名前のとおり直流電圧で回転するモーターです。
中央に巻線を施したローター(回転子)、その外側のステーター(固定子)に永久磁石が取り付けられています。
ローターには複数の巻線があり、巻線の両端は整流子に接続され、これがカーボン等で構成されたブラシと呼ばれる電極に接触しており単純な構成としては下記の図のような構造となっています。
上の図の薄い青、黄色の部分が電流を表し電流が真ん中の円筒形の物体に接続されていますね。
これが整流子です。
整流子を介して巻線に流れた電流はフレミング左手の法則により磁界を発生、ステーターの磁界との反発を生じ、時計回りの回転する力になるのです。
ここでフレミング左手の法則の法則についての解説をしたいと思います。
フレミング左手の法則
【フレミング左手の法則】というワードが出てきました。
聞き覚えありませんか?
小学生の理科の授業を思い出してみてください。
こんなポーズで【電・磁・力】と覚えた方も多いと思います。
上の画像の矢印で表されるのが【電・磁・力】
- 電流の方向
- 磁場の方向
- フィジカルな力の方向
これらをそれぞれ表しており、中指から親指へ順に【電・磁・力】となります。
つまり各指が電流の向き、磁界の向き、力の向きを表しており、電流=中指の向きに対してそれぞれ直交した向きに磁界、力が発生することを表します。
整流子=電流の切り替えスイッチ
整流子の辞書的な説明は以下の通りです。
直流発電機において電機子に発生した交流を直流に変換するための整流機構。
電機子の回転コイルに接続された整流子片と絶縁片が交互に組み合わされ,回転軸のまわりに円筒状に並び,これを2個のブラシが摺動(しゅうどう),コイル内に生じる交流の同一方向の電流のみがブラシを通じて流れる。
すなわち直流が得られる。電動機の場合は逆の動作を行う。
引用元:https://kotobank.jp/word/%E6%95%B4%E6%B5%81%E5%AD%90-86599
さて直流モーターの項で述べた様に電磁力の力で回転されたローターですが、電流が一方向のままですとどうなるでしょうか。
フレミング左手の法則により電流が一方向のままでしたら磁界も一方向、つまりステーターに対して一方向の磁界が発生したままとなり、動き出したローターは一定の動きこそすれ、時間経過とともに一定の反発した位置で停止するすることになるでしょう。
そこで"整流子"の出番となるわけです。
再度図をご覧ください。
図の整流子をよく見ると切れ込みが入れられているのにお気づきでしょうか。
この切れ込みがセグメントを表しており、この図では簡易な2極モーターと言うことが出来ます。
ローターが回転すると、この切れ込みを境に巻線に流れる電流が反転します。
これにより磁界の向きも反転、ステーターと再度反転し回転、電流が反転・・・・
とこれを繰り返すことにより回転が継続、モーターとして機能するというのが直流モーターの構造であり、整流子の機能です。
映像で解説します
とまあ説明をされてもまだ分かりづらいですね…
You Tubeに図解の説明がありましたので紹介します。
この動画でほぼ説明が完結してしまいました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は解説のためシンプルな2極(2セグメント)の構成で解説をしてきましたが、実際には3極が最小限、弊社では100以上のセグメントを持つ整流子も製造しております。
また大きさや形状も様々であり、小さな製品では小指程度の大きさから両手で抱えるぐらいのもの、シンプルな円筒形のものや円盤状のタイプ等、モーターに合わせて形や大きさが異なり、製品ラインナップは100を有に超えます。
今回の解説で改めて私達の製品がどのようなものかご理解頂けたら幸いです。
次回以降もまた整流子にまつわる情報や工場がある埼玉県八潮市、新潟県南魚沼市の情報などを更新していきたいと思います。
常に心にKUFU
原田製作所
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